医療体験


医療体験

肝炎と検査

 

ウイルス肝炎の疑いのある患者さんが来院されたので、HBs抗原、HBc抗体の検査を行った。

 

その結果、患者さんはC型肝炎であったため、他院に紹介して治療を受けることになった。

 

半年後、支払基金からHBc抗体の検査の料金は払えないという通知が来た。

 

どうも「ウイルス肝炎」の病名だけではだめらしい。

 

基金に抗議の電話をしたら「過剰」といわれた。

 

その患者さんは今でもC型肝炎で通院中だ。

 

もし、検査をしなかったらその患者さんはC型肝炎で命をおとしていたかもしれないんだぞ!!!

 

支払基金は、金払わんとはどういうことや!!!

 

レセプトの差し戻しならともかく、いきなりきってくるとは!!!

 

前々からおもってたのだが、どうも支払基金や保険者は患者の利益よりも医療機関にお金をいかに払わないようにする方ばかりに力をいれてるようだ。

 

差し戻しの目標みたいなモノがあるというのも、事実らしい。

 

真面目に地道に患者さんのために医療を行う医療機関が泣きを見る。

 

いいのか、これで!?

 

某病院の手術で毎分2リットルの酸素吸入をしなければならなかった患者さんの治療に関して、1ヶ月あとになって

 

「これは多いんじゃないか」

 

といってレセプトを突き返してくる支払基金。

 

1ヶ月あとになってから言うんじゃなくて、酸素吸入をしている患者さんの目の前で

 

「ちょっと多いんじゃないの。お金は金払えません。」

 

と、言ってよね。

 

 

カルテ開示

 

カルテ開示が法制化へ向かって動き始めた。

 

この厚生省の考えに日本医師会は法制化反対の立場をとっている。

 

法制化の前に、情報の開示のためのガイドラインをつくることにより、法制化しなくてもよい方向にもっていきたいとしているらしい。

 

開示は悪いことではないと思うが、この、「開示」にかかわるコストは、また、医療機関が負担するのだろうか。

 

診療所のような、小さな医療機関なら、カルテの数もしれているので、探すのもそう難しいことではないが、大病院だと、1年か2年ごとに新しいカルテに書き換えられ、古いものは倉庫へ保管されているところも多いと思う。

 

そんななかから必要なカルテをさがすのも、手間(=コスト)がかかる。

 

ただでさえ、外来が大忙しの病院で、最小の人数で働いている忙しい事務員がカルテを探しにいくようになるのだろうか。

 

疑問である。

 

 

老人医療

 

老人慢性疾患外来総合診療料(外総診)及び老人医療

 

簡単に言うと、外総診は、マルメ医療である。

 

検査をしてもしなくても、処置をしてもしなくても、一定額の診療報酬が医療機関に支払われる。

 

この外総診であるが、患者にどんな医療をしようと、おんなじ診療報酬なんて、どう考えてもおかしい。

 

医療というものは本来、患者ごとに、違ってくるものであり、ケース・バイ・ケースである。

 

日本で諸外国にまけない、高度先進医療をうけられるのは、この「出来高払い」の制度のおかげである。

 

マルメなどで、ひっくるめてしまっては、医療の荒廃をまねいてしまうのではないか。

 

検査やろうがやるまいが同じ診療報酬しかえられなくなるなら、必要な検査もされなくなってしまう。

 

厚生省は医療費の増大をマルメでかたずけてしまおうとしているが、これは危険な考えである。

 

今のところ、急性増悪の場合の出来高請求の道は残されてはいるが、厚生省はこれすらマルメにしようという腹らしい。

 

これは、絶対阻止しなくてはならない。

 

また、薬剤一部負担金を別にすると、老人保険では外来1日1回受診につき、500円の定額払いであるが、基本的に、この「定額負担」というのには、作者は反対の意見である。

 

老人に医療に対するコスト意識をうえつけるためにも、老人外来は1割なり、2割なりの出来高で患者に請求する方が望ましいと思う。